かかりつけ医による2型糖尿病診療を支援するシステムの有効性に関する研究(J-DOIT2)
糖尿病戦略研究について
飯田医師会 中島貞男
 糖尿病は今や、世界的規模で増加している病気であり、平成37(2025)年にはアジア地域が世界の糖尿病患者の半数を占めると予測されています。原因には、生活様式の欧米化や現代文明社会の負の側面等が考えられています。糖尿病に罹患しやすい遺伝因子を持った方が、肥満、過食、運動不足、ストレスなどの生活習慣因子に暴露されると発症すると考えられています。 我が国では、平成19年の厚労省国民健康栄養調査の結果で糖尿病の患者さんは、その可能性の強い人を含めておよそ2210万人に上ることが示されました。これは国民5人に1人の数字であり、この10年で1.6倍に増加しております。
 糖尿病はいにしえの昔より「国を滅ぼす病気」と言われており、厚労省はかなりの危機感を持って、平成17年度から21年度にかけて糖尿病予防のための戦略研究を開始しました。そのひとつである糖尿病の治療中断を改善する研究は、J-DOIT2研究と呼ばれ、糖尿病患者さんの治療中断率を半減するとの目的で行われております。J-DOIT研究は、Japan Diabetes Outcome Intervention Trialの頭文字をとったもので、未曾有の規模で進められています。J-DOIT1は、糖尿病になるリスクの高い方を対象に糖尿病になる移行率を半減する目的で施行している研究であり、J-DOIT3は実際に糖尿病の治療を受けている方を対象にその合併率を30%減らすことを目的として、従来の治療と強化療法との比較を行っております。
 J-DOIT2研究は、全国の11医師会で行われており、飯田医師会も20医療機関が参加しております。昨年7月下旬より2ヶ月をかけて、40歳から64歳の確定した2型糖尿病患者さん270名余を登録しました。患者さんには、グループによって診療支援センターから療養指導が行われています。
 こうした研究を医師会単位で行うことにより、地域全体の糖尿病治療の底上げに寄与するとともに、国の事業に対する成果を出すことが期待されております。