慢性腎臓病(CKD)対策が始まってから20年程がたち、この間の経験を踏まえ「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」1)が出されました。また、非専門医にも使用しやすい「CKD診療ガイド2024」2)も出版されました。最近の研究によると日本ではCKD患者が約2000万人、成人の5人に1人がCKDであると推計されています。またCKD治療薬についてもRA系阻害薬以外に、効果が期待される薬剤が使用可能になりました。健診などで発見されたCKD患者に早期に介入し治療につなげるとともに、継続した医療提供ができる体制を維持するため、当地域の実情に応じた医療連携を構築、強化することでCKD重症化予防の徹底を図ることができると考えられます。
専門医療機関の役割としては、管理栄養士を中心とした食事指導、ステージG3b、G4、G5の時期における保存期腎不全の管理、腎代替療法の選択などに多職種連携によるチームアプローチが強調されています。栄養指導も含めた生活習慣改善にお困りの症例などを気軽にご紹介いただけるとよいかと思っております。
紹介基準やタイミングを明確にする目的や、かかりつけ医療機関においても、血圧管理やSGLT-2阻害薬などのCKD治療薬の早期介入も検討していただけるように、今回新たに「CKD診療連携フローチャート」及び「かかりつけ医療機関におけるCKD診療フローチャート」を作成しました。日常診療の参考にお役立ていただけますと幸いです。
さて、当地域では2013年には501名であった透析患者が、2024年末には440名と減少傾向で、有病率(人口100万人対比)も2985人とやや減少傾向です。しかしながら全国や長野県全体と比較するとまだまだ高い状況です。また透析導入の原因疾患としては、糖尿病性腎症、腎硬化症、慢性腎炎、多発性嚢胞腎の順で、蛋白尿、糖尿病、高血圧への対応が重要と思われます。また、新規透析導入患者数は減少傾向であるものの、若年者の割合は一定で変わらず3)、若年者のCKD早期発見、早期治療介入も重要であると思われます。かかりつけ医の皆様におかれましては、フローチャートの紹介基準を参考にGFRの低下、蛋白尿のある患者の御相談をお気軽にお願いしたいと思います。特に今回改訂されたCKD診療ガイドライン2023では蛋白尿の重要性も強調されております。かかりつけ医の皆様におかれましても、年1回程度、尿検査のスクリーニングを行っていただき、CKDの早期発見、介入にご協力をお願いいたします。
幸い当地域には飯田下伊那透析施設連絡協議会が設立されており、年3回の定期的な会合やSNSグループの活用で連絡を取り合っています。7つの透析病院が参加しており医師、管理栄養士、腎臓病指導に詳しい薬剤師、看護師などの人材がそろっておりますので是非ご活用いただきたいと思います4)。
前任の中島先生や熊谷先生の時代から、地域の保健師との勉強会の中で、「地域保健師からかかりつけ医への連携構築」にお骨折りを頂きました。この連携で用いる、「地域⇔かかりつけ医」「かかりつけ医⇔専門医」へ紹介状ならびに返書のフォームをダウンロード出来るようにしてありますので、引き続きご活用下さい(2024年に一部変更あり)。