慢性腎臓病(CKD)対策が始まってから10数年がたち、この間の経験を踏まえ「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」1)がだされました。この中で強調されているのは、かかりつけ医と専門医の連携の重要性で、紹介基準の簡略化がなされました。
CKD(慢性腎臓病)連携ツールについて
専門医療機関の役割としては、管理栄養士を中心とした食事指導、ステージ3b,4-5の時期における保存期腎不全の管理、腎代替療法の選択などに多職種連携によるチームアプローチが強調されています。栄養指導も含めた生活習慣改善にお困りの症例などを気軽にご紹介いただけるとよいかと思っております。『患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド2018』2)も出版されました。ご活用いただければ幸いです。
当地域では2013年には501名であった透析患者が、2018年には488名と減少傾向ではありますが、65歳以上に限ってみますとむしろ増加傾向であります。また透析導入の原因疾患としては、糖尿病性腎症、慢性腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞腎の順で、たんぱく尿、糖尿病、高血圧への対応が重要と思われます3)。かかりつけ医の皆様におかれましては、GFRの低下、蛋白尿のある患者の御相談をお気軽にお願いしたいと思います。
幸い当地域には飯田下伊那透析施設連絡協議会が設立されており、年3回の定期的な会合やインターネット掲示板の活用で連絡を取り合っています。7つの透析病院が参加しており医師、管理栄養士、腎臓病指導に詳しい薬剤師、看護師などの人材がそろっておりますので是非ご活用いただきたいと思います4)。
前任の中島島先生の時代から、地域の保健師との勉強会の中で、「地域保健師からかかりつけ医への連携構築」にお骨折りを頂きました。この連携で用いる、「地域⇔かかりつけ医」「かかりつけ医⇔専門医」へ紹介状ならびに返書のフォームをダウンロード出来るようにしてありますので、引き続きご活用下さい。
2020年7月3日
健和会病院 副院長/透析センター部長 熊谷悦子
- 1)日本腎臓病学会編集.エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018.東京医学社.2018
- 2)日本腎臓病学会編集.患者さんとご家族のためのCKD療養ガイド2018.東京医学社.2018
- 3)飯田下伊那における慢性透析療法の現状(2018年12月31日現在).松村朋洸,今井友範, 古町和弘、第67回長野県透析研究会学術集会発表
- 4)井原光子、古町和弘、熊谷悦子. 透析医療における顔の見える連携.長野県透析研究会誌. Vol.41.No.1.139-141

ダウンロード
地域からかかりつけ医へ:
- CKD患者紹介フォーム[Word]
- CKD連携返書フォーム[Word]
かかりつけ医から専門医へ:
- CKD専門医紹介フォーム[Word]
- CKD専門医返書フォーム[Word]